20200809 『来る』感想
20200810
怪異は世界の裏側からくる。
生きた世界は「痛み」によって感知される。
まいた種はみえるところからも、みえないところからも成果となって世界に影響を及ぼす。
みえないものは、ないわけではない。
子供が笑える世界であれと。それだけだった。
分かるなぁと思ったのだった。
執拗に描かれる幸福のかたちも、それを目指そうとする気持ちも。
空っぽなんかではなかったと思うのだった。ただ、まいた種は、みえないところでも成長する。
できるだけ正しく認識できるように、みえる部分を増やしたい、増やすことによって、回避できることも増える、という、そんな気持ち。
理想の牙城は、彼の魂を、あるいは彼の娘の魂を匿ってくれたのだ。
その城の外で苦しむ人間がいることと、城の中で王を目指すことはまた違う話なので。
城があればこそ外の世界に手を伸ばすことができることもあるし、城から出てこないから焼かれてしまうこともある。
彼の理想の中にいた彼は、生に執着する理由として娘をあげた。
それは当然のことで、彼はそうありたかったのだ。
でも実際はそうではなくて、そうありたい自分を、本当の自分だと認識したせいでみえなくなった世界があった。
気付かなくなった痛みがあった。
痛みは世界との繋がりになる。良い視点だと思った。
2020/08/11
鏡とナイフ。
現実と傷つくことのメタファー感じる。
非現実の化け物だ。分かる。
闇の中で感じる痛みだけがこちらに繋ぎ止める。
「痛みを恐れないで」
「痛みを受け入れてください」
許しと受容は救い、たる。
救いではないかな。そこにいてもいいという当然に。居場所に。
痛みに向き合うものは共に痛む。
純粋な暴力とはまた別に。
いや同じかな。同じか。